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8月の半ば、カイと付き合うことになった
嬉しかった。
「あたし、ずっとカイのこと好きだった」
「いつから?」
「あたしの鞄がカイにあたって、カイが痛えって機嫌悪そうに言った時から」
「俺機嫌悪そうにしてた?一目惚れかい」
「そだよ」
「そんな真顔で言われたら照れるわ」
こんな彼が可愛いかったので、後ろから抱き締めようとしたら頭を抑えて拒まれた
顔を両手で覆われてキス。
幸せだった
家まで送ってやると言われたけど、
断って帰った
いつかあたしの話をきちんと話さないとな
でも、暗い雰囲気になりそうで怖い
ふと母を思い出した
昔は毎年家族で海に行ったな
今母はどこにいるんだろう
あれからもう8年
あたしがいなくても平気だったのはあたしのことそんな大事じゃなかったからかな
父を鬱にして、あたしを捨てなければならなかった理由は何だろう。
信じたいけどね、あたしに会いに来てくれるって