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カイの胸に寄りかかってカイがあたしの頭を左手で覆った
好きだよ
なんて言えなくてただ、カイの心臓の音を聞いて胸がいっぱいでどうしようもなかった。
「あたしの頭重くない?」
「全然。軽いよ」
今日のカイはからかってこないし優しいから、戸惑う
しばらくして、カイから離れた
目と目が合うけどキスはしない。
「そろそろ帰ろっか、夏休み海行こうぜ」
「花火綺麗だったなあ。うん、絶対だよ」
約束をして、電車に乗る
人混みがすごくて、カイのティシャツをつまんだ。
カイの左手があたしの手に絡む
人混みにまぎれて頰にキスされた。
にやけそうになる唇を噛んで、必死に平然を装う。顔を上げると
「にやけんなよ」
ってカイが笑ってた。
「このクソガキ。」
いつもの二人に戻った
夏休みの宿題の話、バイトの愚痴を言い合いながら帰った
普通、ここで付き合うはずだろ?
って心の中でつぶやきながら。