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歩きながら、別れの準備をする
まだ歩道に桜が咲いている。
出会いの季節なのにね
どうかヨシくんがもっと素敵な人と出会いますように。
「ヨシくん?話があるの」
「どした?」
「三年間ヨシくんと付き合って、たくさん甘えて、愚痴言って、いっぱい遊んで、本当に感謝してる。だけど、もうヨシくんと一緒にいるのが辛い。から、、別れたい」
「なんで?仲良いじゃん俺ら
これからもおまえを支えるのは俺だよ」
「ありがとう。だけど、仲良いのと、付き合うのは違うじゃん?
もう支えはいらなくなったの」
ひどい女だなあたし
使い捨てみたいに。苦しい
「俺は、別れない。おまえのこと、心底好きなんだわ」
ぱっちりとした目には動揺がなく、
平然とそう言って
ヨシくんはあたしを見つめる